大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1768号 判決 1951年2月02日

主文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差戻す。

理由

被告人井上武男弁護人増田沖三の上告趣意第二点について。

原判決を調べて見るに、その第二葉目と第三葉目との間に所論の契印を欠いていることは明である。旧刑訴法によると、判決書に判事の契印が欠けているときは常に上告の理由があって判決に影響を及ぼすべき法令の違背あるものとされているのであるから、論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。そして、原判決は被告人井上武男に対する強盗、住居侵入、銃砲等所持禁止令違反被告事件についてばかりでなく同一事件の共同被告人である中島正一に対しても言渡されたものであるから、前記破棄の理由は共同被告人たる中島正一にも共通のものといわなければならない。従て原判決は右中島の為にも破棄を免れないものである。

よって弁護人増田沖三の上告趣意の他の論点及び被告人中島正一の上告趣意並に同人の弁護人内田弘文の上告趣意に対する判断を省略して、刑訴施行法二条、旧刑訴法四四七条、四五一条、四四八条二に従い裁判官全員一致の意見で主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例